【META NAME="GOOGLEBOT" CONTENT="NOINDEX, NOFOLLOW"】 【META NAME="ROBOTS" CONTENT="NOARCHIVE,NOINDEX,NOFOLLOW"】 FINAL FANTASY Ⅵ -IF- FINAL FANTASY Ⅵ-IF第四部『城下町サウスフィガロ』
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サーベル山脈サウスフィガロ側麓。

鬱蒼とした森の中を3人の人影がふらふらと歩いていた。

二人は茶色のメットにアーマーを着た帝国兵である。

そしてもう一人は・・・。

「なああああああああんでぼくちんがっ、わざわざ歩かなきゃならないんだっ!」

じたばたしながら地団太を踏む、顔におしろいを塗りたくり、けばけばしい色の羽が着いた偉く派手な帽子を被り、金銀で装飾された赤いマントを羽織った男。

ガストラ帝国皇帝直属魔導師・ケフカ・パラッツォである。

「疲れた疲れた疲れたぞ!もう嫌だ!歩きたくなあああい」

「そう、騒がないでくださいケフカ様」

「そう、嘆かないでくださいケフカ様」

帝国兵の二人が間延びした口調でそういった。

男にしてはやけに声が高い、よく見てみるとメットから金色の長い髪が零れていた、女性である。

「セリス様の陣営まで、あともう少しです」

「セリス様の陣営までもう暫くです」

ケフカはううう、と唸って二人を睨んだ。

「お前らさっきからそう言ってるじゃねえか!一体いつになったら着くんだ!」

「だってね、フォッグ」

「しょうがないよね、ミスト」

「せっかくたすけてあげたのにね、フォッグ」

「恩知らずだね、ミスト」

「おいてっちゃおうか、フォッグ」

「かわいそうだよ、ミスト」

「かわいそうだね、フォッグ」

「謝ろうか?ミスト」

「そうだね、フォッグ」

二人の帝国兵がそう二人で言い合うと、ケフカに顔を向けてぼけっとした口調で深々と頭を下げた。

『ケフカ様ごめんなさい』

ケフカはそれに対して怒る気にもなれずただ呆然としていたが、不意にああああと頭を掻き毟り、ずんずん、歩き始めた。

「早く案内しろ!くそくそくそおっ!」

ずんずん進んでいくケフカを見送り、二人の帝国兵は顔を見合わせてその後ろを慌てて追いかけていった。


ティナたちに逃げられたあと、ケフカ達を待っていたのはフィガロ城の騎鳥兵達の猛攻だった。

砂漠のそこかしこのダクトから現れたチョコボ騎兵達は魔導アーマーはじめ、多くの武装を失ったケフカ達を追い散らしたのである。

ケフカの軍勢はもともと士気が高いとは言いかねる、チョコボに乗ったフィガロ兵たちによってあっという間に駆逐されてしまった。

ケフカ自身は、その圧倒的な魔導の力を使い何とか窮地を脱したものの、軍勢を失い砂漠の真ん中で途方に暮れていたところをこの二人の女帝国兵、ミストとフォッグに助けられたのである、ケフカにとっては一応命の恩人なのだ。

ミストとフォッグは双子の姉妹であり、人工的に魔導の力を注入された強化兵である。

とはいっても彼女たちは所謂量産型、あまり大した魔法が使えるわけではない。

それでも特に雷の魔法サンダーを得意とするミストと、眠りの魔法スリプルなどの補助系魔法を扱うフォッグの双子ならではのコンビネーションは他の魔導注入者と比べても群を抜いていた。

が、魔導注入の後遺症か、もともとなのか、少々ぼけっとしている為、現在は将軍セリス・セーレの元に側近として仕えていた。



それから数十分ほど歩くと、ようやく、周到に隠された帝国軍の陣地が現れた。

ケフカはひいひい、と肩で息をしていたが、しゃきりと背筋を伸ばして甲高い笑い声を上げた。。

「ひょひょひょひょ!やっと着きましたねえ!ひょひょひょひょひょ!」

「ひょひょひょ!」

「ひょひょひょ!」

ミストとフォッグも真似して笑う、ケフカはきいいいっ!と頭を抱えて二人を睨んだ。

「真似するなっ!」

「だってさ、ミスト」

「だってね、フォッグ」

またもや首を傾げる二人、ケフカはヒイイイイイイイッ!と叫んで頭を抱えた。

「むかつくうううううううううううううううっ!」

「うるさいぞ」
 
凛と張り詰めた声にケフカが振り返り、にやっと唇の端を持ち上げて笑みを浮かべた。
 
「ひょひょひょ・・・、これはこれは、セリス将軍」
 
無造作に肩に流した美しく長い金髪。
 
白いカラーリングを施されたレザーアーマーに、黄緑色の薄手の防刃スーツを着た美女。
 
鋭い眼光、白い肌、精悍ではあるが十分に女性らしいスタイル、文句のつけようの無い絶世の美女が両脇に兵士を従えて腕を組んでケフカを冷たく睨んでいた。
 
「・・・随分派手に失敗したようだな?」
 
ケフカはひっひっひ、と笑い右足をタン、と前に出して高飛車に腕を組んでつんと澄まして見せた。
 
「知らん!」
 
「言い訳してるねフォッグ?」
 
「恥ずかしくないのかねミスト?」
 
「きーーーーーーーっ!」
 
ケフカが悲鳴を上げるのをみてセリスは鼻を鳴らし肩をすくめた。
 
「まあ、いい、どうせ近い内にフィガロは落とす予定だった」
 
そう言って踵を返すとケフカに背中を向けて肩越しに言った。
 
「今回の事は皇帝陛下は不問に付してくださるそうだ、感謝する事だな」
 
「ひょひょひょ!当然、さすがは皇帝陛下!判ってらっしゃる!」
 
ケフカは大きく胸を張って鼻から息を吐き出した。
 
「だが」
 
そう言ってセリスはにやっと笑った。
 
「代わりにお前はレオ将軍のところに出向するようにとの仰せだ」
 
「げえっ!?」
 
「フォッグ、ミスト、お前たちはケフカの護衛をしつつ、レオ将軍にこの書簡を渡すように」
 
「了解しました」
 
「承知しました」
 
セリスが放った黒い筒に入った書類を二人が受け取って返事をした。
 
「レオ将軍は今ドマの攻略に当たっている、篭城戦が長引いているようだ、お前たちの力が役に立つ」
 
「ま、まてっ!」
 
ケフカが慌ててセリスの腕に取りすがった。
 
「か、勘弁してくれ、レオに協力だと!?あのいやみな野郎に!?」
 
「私が言ったんではない、皇帝陛下の勅命だ」
 
「い、いやだっ!あいつにあろうことか協力なんて絶対嫌だーーーーーっ!」
 
そう言ってじたばた暴れるケフカをセリスは呆れたように見つめて、ふん、とそっぽを向いた。
 
「いいから行け、チョコボを貸してやる」
 
「そ、そうだっ!お前から皇帝陛下に頼んでくれ!嫌だ、絶対やだったら・・・」
 
「フォッグ!ミスト!」
 
「了解です」
 
「合点です」
 
フォッグとミストがケフカの両腕をつかむ。
 
「お、おい!ちょっとまて!やめろっ!」
 
「さあ、支度をしていかないといけません」
 
「さあ、準備をしなくてはいけません」
 
「いやだああああああああああああ!」

2-3.jpg



ずるずると引きずられていくケフカを見送ってセリスはふん、と鼻を鳴らし、陣営へと戻っていった。
  
 
続く
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テーマ:二次創作 - ジャンル:小説・文学


セリスは自分のテントに戻って来ていた。
 
息をつき、髪を払う、ケフカの顔を見ると沸き起こるいつもの暗い気分を早く吐き出そうと水差しからコップに一杯水を注いで飲み干した。
 
空になったコップを置いて自分の椅子に座る、目の前の机にはサウスフィガロの見取り図が広げられていた。
 
「さて・・・・」
 
シャドウからケフカ宛に届いた見取り図を信用するならば、町の東の一角、林を抜けて一斉に攻撃を仕掛ければ一気呵成に占領できるはずだ。
 
町に送り込んだほかの斥候からも同様の報告が来ていた。
 
「明朝か・・・・」
 
そう言ってセリスはもう一度ため息をついた。
 
「・・・また、人を殺すのか」
 
と、テントの外の気配にセリスは視線を鋭くした。
 
「誰だ!」
 
外の気配が驚いて飛び上がる、あわててテントの扉が開かれて、黒い軍鎧を着込んだ大男と細身の茶色の皮鎧を着た男、緑色の皮鎧の男、というより少年兵が敬礼しながら入ってきた。
 
「ア、 アックス曹長であります!」
 
「ダガー中佐であります!」
 
「ウィップ二等兵であります!」
 
セリスは厳しい表情で三人を睨んだ。
 
「・・・なんのようだ」
 
「は、ははっ!セリス将軍がお仕事をしておられると聞きっ、我ら三名非力ながらお手伝いをしようかとっ、思いまして!」
 
「こ、これ、うちの実家から送ってきた紅茶なんですがっさ、さささ、差し入れっす!」
 
そう言ってダガーがお盆に載ったティーカップとティーポットを差し出した。
 
「ぼ、僕も、あの持ってきたんですけど、お口に合えば・・・」
 
ウィップがそう言って紙袋に入ったお菓子らしきものを差し出す。
 
それを見てアックスが慌てて怒鳴った。
 
「ばっ!ばか!贈り物は禁止だといっただろう!」
 
「で、でも、手ぶらじゃ失礼だし・・・」
 
「いいんだよ!逆に変だろうがプレゼントなんて!」
 
セリスは頭をかいた。
 
その額には血管が浮かんでいる。
 
「・・・結局何しにきたんだ?」
 
「あ、いや、その・・・自分たちは・・・」
 
「こんなところで油を売っている暇があったら・・・・」
 
ゴゴゴゴゴ、とセリスの後ろに火山の幻が見える、三人はあわわわ、と退いた。

4-2.jpg


 
「仕事をせんか!ばかものども!」
 
 
 
セリスの一喝に三人が悲鳴を上げた。
 
「ひいいいいっすいませんでしたあああっ!」
 
「も、もちばにもどりますですはいっ!」
 
慌てて三人がテントの外に飛び出す。
 
そのあとでそっと、出入り口の影からウィップが顔を出してお盆とお菓子の紙袋を差し出した。
 
「あ、あの、これよかったら食べてください・・・」
 
「ばかっ!早くこい!」
 
三人組の気配が遠ざかる、セリスは額を押さえてから、ちらりと紙袋とティーポットを見て、ごくわずかに、微笑した。
 
 
「ばか!お前らがいらん事するから怒られちゃっただろ!」
 
アックスが二人を前にして怒鳴る。
 
ダガーがそれでも満足そうに頭をかいた。
 
「いやあ、でも怒られちゃったなあ、な?」
 
ウィップがうんうんと何度も肯いた。
 
「お菓子もお茶も渡せたし、大成功だよね!」
 
「ぐっ、こんな事なら俺も何か持っていけばよかった・・・」
 
「まあ、今日のところは『セリス将軍を見守る会』としてはこんな感じでいいっすよね、曹長?」
 
アックスは、色々いいたそうに口をもごもごさせていたが、結局、うむ、と肯いた。
 
「まあ、そうだな、今度の会誌に載せられるくらいの成果はあったし、バルナバに見つからん内に帰るか」
 
「おう!」
 
「はあい!」
 
そう言って三人はそそくさとその場を離れた。
 
後に残されるのは夜の闇と虫の静かな声だけだ。
 
と、がさごそと茂みからひょっこりと二つの顔が出た。
 
「・・・・帝国の陣地っす、姉さん」
 
「だね、一仕事するよ」
 
そう言ってまだあどけなさを残した娘が不敵にそう言って腕まくりをした。
 
黒い髪をショートカットに切りそろえたボーイッシュな少女だ、その瞳は如何にも好奇心旺盛な光を宿している。
 
えええっ、と狼の頭を持った人狼の男がぶんぶんっ、と首を振った。
 
「やめましょうよ!殺されちまいますぜ!?ここは常勝将軍セリス・セーレの陣地なんすよ!」
 
「ばっかだねー、虎穴にいらずんば虎子を得ずっていうんだろ」
 
「トラは魔法をつかったりしねえっす」
 
「いいからやるったらやっちゃうもん、行くよ!」
 
そう言って樹上に飛び上がった娘、狼男はあああ、と頭を抱えた。
 
「トンでもねえ人に弟子入りしちまった、まってくだせえあねさあん!」
 
狼男もその後に続いた。
 
今度こそ、森に静寂が戻った。
 
 
続く

テーマ:二次創作 - ジャンル:小説・文学


ティナ達が出立してから、一日が経過したサウスフィガロ。
 
その前門といくつかの水門は硬く閉ざされていた。
 
元は小さな港町だったサウスフィガロだったが、72年前に起きた大惨事・フィガロ城潜行失敗に伴い一時的に仮の王宮を今で言う北の屋敷に移した際、当時の国王やまだ幼かったアレフ皇子(後のエドガー、マッシュの父)を守るためにと民衆が自主的に町の外壁を硬固な物にしたのである。
 
当時まだ少年騎士であったガーラによれば。
 
「実験で多数の死者を出した国王陛下は責任を感じそれはもう落ち込んでおられましてなあ、王を思う民の気持ちにどれほど感激されたか、巌のような顔に感動の涙を流していたことをこのガーラ、忘れられませぬ。
 
もちろんそれまでも治世を納めてきた陛下でしたがそれ以来富に民衆の憂いをなくすことに尽力されました、ですから良いですかエドガー様、エドガー様も女子衆ばかり口説いているのではなく・・・殿下!聞いておられるのですか!?」
 
との事である。
 
 
「ゼザ隊長!住民の避難及び戦闘準備が完了いたしました!敵勢力は現在サウスフィガロより2時の方向にある林の中で待機しております!」
 
そう言って緑と赤のコントラストが目に鮮やかな軍服を着たフィガロ兵が敬礼した。
 
「うむ!」
 
肯いて、立ち上がったのは長身痩躯、腰に挿したほかの者達の物より少し長いサーベル、背中にしょったエドガーが扱うものより大きなオートボウガンそして鼻の下の横にぴんと張った口ひげをなでるその兵士と同じ格好をした中年の男。
 
フィガロ城を守護する守護騎兵隊の3つの隊を指揮する軍隊長、ゼザ・デイブレイクである。
 
彼は背中に手を回しながらくるりと指で宙をかき混ぜた。
 
「うむううううううううむ!」
 
そう唸って、高い鷲鼻を軽くはじいた。
 
「よろしい!我輩も直ちに出陣する、兵士諸君は中央広場に集合してくれたまえ!復唱せよ!」
 
「兵士は中央広場に集合いたします!」
 
「ううううううううむ!」
 
ゼザは大きく肯いて腕を組んだままびっと音が立つような勢いで虚空をを上目遣いで睨んだ。
 
「くるなら来るが良い常勝将軍!人呼んで砂漠の血風、このゼザ・デイブレイクが跡形もなく退治してやろう!」
 
兵士は真顔のまま、ううむ、と唸った。
 
「実力はある方で、人柄もいいんだが」
 
「む、こっちの角度のほうがいいか?このゼザ・デイブレイクがっ!」
 
「不安だ・・・」
 
 
そのサウスフィガロより少し離れた林の中。
 
10機程の魔導アーマーと数十名の帝国兵が整列し、その中で白くペイントされた魔導アーマーに跨った男がなにやら怒鳴っていた。
 
「よおおしおまえらあっ!」
 
機械油でできた染みだらけの帝国軍の鎧を着込んだ中年の男。
 
腰に差すのは軍刀ならぬドライバーなどの工具。
 
油っぽい顔と無精髭でただでさえ暑苦しい顔がさらに目に染みる。
 
「いいかあっ、お前らはこのバルナバ様の言うとおりに突撃しろおっ、なあにフィガロ城はケフカ様のおかげで砂の中!相手はせいぜい町の自警団程度の勢力、魔導アーマーのある俺たちに負ける道理はねえ!」
 
と、いってガッハッハ、と笑う。
 
だが、その前にいる兵士たちの顔色は優れない。
 
一人の二等兵が隣の同僚の脇をつついた。
 
「・・・なあ」
 
「・・・・あ?」
 
「バルナバ隊長やけに元気いいけど、セリス将軍は?」
 
「・・・別行動だってよ、さっき会誌が回ってきた」
 
そう言ってそっと後ろから薄い冊子を取り出して見せた。
 
「アックス曹長とダガーとウィップが一緒についてったって」
 
「またあいつらかよ・・・ちぇっ、えこひいきだろ」
 
「じゃあお前アックス曹長やダガーとタイマンはれるかよ」
 
「・・・ウィップだったら」
 
「あいつまだ13だぞ、それにボウガンもたせたら普通にかなわねえし、あいつ確か狩人の息子だろ」
 
「・・・」
 
「フォッグ様とミスト様がケフカの野郎についてったから、セリス様が信用できる部下っつったら付き合いの古いあいつらしかいないだろ」
 
「お、俺だってセリス様のためなら命いらねえよ」
 
「無理すんなよ・・・」
 
「そこおおっ!なに無駄口たたいとるかあっ!」
 
バルナバの怒鳴り声に二人の兵士が首をすくめたとき、その隣でサウスフィガロを双眼鏡で覗いていた一人が声を上げた。
 
「隊長殿!サウスフィガロより敵軍らしき影が!」
 
「おお!よしお前らアーマーに搭乗しろいっ!」
 
「隊長!」
 
「砂漠の田舎者共に目に物見せてやれい!」
 
「隊長!」
 
「なんだようるさいぞ、俺がかっこよく決めておるのだから静かにせい」
 
「騎兵隊です」
 
「あ?」
 
「階級賞などからフィガロ城の精鋭部隊『砂漠狼』と思われます」
 
「なぬう!?」
 
バルナバは悲鳴を上げて兵士から双眼鏡を取り上げて覗き込んだ。
 
黄色い羽毛を鎧に包んだチョコボとそれに跨る勇壮な騎士たち、ゼザ率いる騎兵隊である。
 
「な、なんでだ!フィガロ城は砂の中のはずだぞ!どうしてこいつらが・・・」
 
「敵軍接近!衝突まで5分42秒!」
 
バルナバはうぬぬぬっ、と呻いてそれから半ばやけくそ気味に兵士たちを怒鳴りつけた。
 
「ええいっ!なにをぐずぐずしとるかっ!魔導兵全員搭乗!直ちに戦闘体制に入れいっ!」
 
兵士達があわただしく魔導アーマに乗り込む
 
「魔導アーマーエンジン始動後直ちに起動!歩兵全員突撃いいいいいいっ!」
 
サウスフィガロの高原に兵士たちの(帝国軍は少しやけくそだが)鬨の声が鳴り響いた。
 
 
続く

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さてその頃。
  
セリスとともにアックス、ダガー、ウィップの三人はサウスフィガロの裏手の林に侵入していた。
 
「セリス将軍」
 
「なんだ」
 
アックスが大きな体でセリスの前に立ちゆく手を阻む背の高い草を押しのけ歩きながら言った。
 
「どうしてセリス将軍までいらっしゃるのですか?このような危険な任務は我々だけで・・・」
 
「いまさら私に帰れというのか?」
 
「いや、そういうわけでは・・・」
 
アックスが頭をかくのにセリスは肯いた。
 
「判ってはいる、だがバルナバの兵隊は信用できん」
 
「じゃ、じゃあ俺たちって信用されてるんすか!?」
 
「わーい!信用されたー!」
 
ダガーとウィップが二人して喜ぶ、セリスはそれを冷たく一瞥して。
 
「お前たちは腹芸ができるほど器用ではない」
 
ダガーとウィップは喜ぶのをやめて複雑な笑顔を浮かべた、どうやら馬鹿にされたのか褒められたのか困惑しているらしい。
 
「ミストとフォッグがいればよかったのだが・・・お前たちだけに任せるのは不安でな」
 
「心外なお言葉です、魔法こそ使えませんがわれら三人セリス様のためなら・・・」
 
「だからだ」
 
セリスがそう言ってすこしむくれているアックスに向けてまるで百合が綻ぶ様に微笑んだ。
 
「だから心配なのさ」
 
「・・・・」
 
アックスは顔を真っ赤にして正面を向いた。
 
「あー照れた照れたー!」
 
「やーい顔赤いー!」
 
「だーーーーーっ!うるさいぞお前ら!」
 
大きな腕をぶんぶん振り回すアックスを見てセリスは少し呆れたように肩をすくめた。
 
 
この三人とセリスの付き合いは割と長い。
 
ドルガン・アックスはセリスが将軍になって初めてついた部下で、魔力を注入されずに生き残っているのは彼だけだ。彼の曽祖父はドマ出身のベケイという人物で、彼の祖父がまだガストラ帝国が緩やかな政治形態を取っていた時代に流れてきて武勲を立てて以来帝国でも屈指の武士のとなった家系の出だ、代々伝わる巨大な戦斧『グレイトアクス』を軽々と振り回すヘビーファイターで、『戦鬼』の異名をとるセリスの片腕である。
 
エッジ・ダガーは初めての出陣『自由都市ニケアーム攻略戦』で補充兵員としてやってきた、帝国に滅ぼされ皆殺しにされたマランダ国の騎士の血統を受け継ぐ青年で、出自のせいか初めのうちこそ尖った性格の男であったが、戦いを重ねるうちアックスと友情を築き、彼本来の明るい奔放な面を見せるようになった。
名前のとおり短剣の名手であり、投擲短刀『くない』と彼の家系に代々配されてきたという呪われた短剣『リッパーナイフ』を飄々と扱うその姿から『切り裂きダガー』の異名をとる。
 
シルドラ・ウィップは二年前に起こったツェンの暴動で旅の猟師であった父を失った少年をアックスとダガーが連れてきて、少年兵として志願させた、、彼の志願にはセリスも二人の嘆願に仕方なく口添えした経緯があった。
猟師であった父の影響か弓矢の才に恵まれておりセリスが手に入れた物を小型化した『ヨイチ』と名づけたオートボウガンを愛用している、若干13歳の少年であるがその腕は百発百中、いつものおっとりした彼からは想像もできない迫力から『氷弓のウィップ』と呼ばれる。
 
他の古いセリスの部下たちは魔力を注入され生き人形とされたり軽い精神崩壊を起こしたり、そうでないものでもケフカの息のかかったものや女で年若いセリスを嘗めてかかるものも少なくない。
 
セリスが心底部下として信用しているのはこの3人とフォッグとミストのみである。
 
 
 
セリス達の後方には二十数名の帝国兵が待機している、見張りがいること等を考慮し、それらを排除し先陣を切って街に突入するのが4人の任務である。
 
「でもセリス様、危険すよ、やっぱり」
 
ダガーがそう言って身振り手振りを使いながらセリスの横に立って言った。
 
「そりゃ俺たち命に代えてもお守りしますけども、絶対ってことはないわけでして、今俺らの大将はセリス様なんですから、万一ってことがあると・・・」
 
「くどいぞ、ダガー」
 
「頑固なんだからなあ・・・」
 
ダガーが頭を掻いて苦笑いを浮かべる。
 
と、すっ、とアックスが身を屈めた。
 
「将軍・・・、見張りです」
 
セリスが木陰に身を隠しながらその様子を伺う。
 
「・・・騎士か?」
 
「いえ、訓練を受けた町人といったところでしょうか、しかし武装している・・・」
 
すこし離れた位置に苔生したレンガ造りの外壁が見える、そこに入り口らしい鍵つきの扉が立っているのだが。
 
その両脇には二人の男、その頭上の窓からもオートボウガンで武装した男が油断無く周囲をうかがっている。
 
「・・・ウィップ、ダガー」
 
「了解」
 
「はいよ」
 
ウィップが静かに頷いて『ヨイチ』を構えた。
 
ぽーっとした少年の瞳がその途端に凍てついたように鋭く尖る。
 
音も立てずに発射された金属の矢が見張り二人の眉間に深々と突き立った。
 
二人の男の体が崩れ落ちる前にダガーが草むらから男たちにむけて飛び出す、そのまま男の肩に足をかけて頭上の窓まで跳躍する。
 
驚愕のあまり目を見張った男の口の中に『くない』が滑り込み、ダガーは細身の体をよじってそのまま窓から内部に侵入した。
 
物音一つせずに扉が開く、中からダガーが手招きした。
 
3人は頷きあって扉の中に足を踏み入れる。
 
続く

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フィガロの誇る騎兵団『砂漠狼』。
 
狼の紋章を胸につけた制服を着る、錬度が高いフィガロ騎士団の中でも有数の精鋭部隊である。
 
その精鋭のなかでも団長、ゼザ・デイブレイクと副団長、カイン・ハイウィンドウは別格といえよう。
 
ゼザは愛騎サーゲイトとエドガーの父アレフの代から共に砂漠に巣食う魔物や盗賊達を数々と屠ってきた歴戦の勇士。
 
若き日には後の最強の戦士、ジークフリードと一対一の勝負で2昼夜の戦いの末引き分けたと言われるほどの実力者だ、言動が若干変だがその確かな実力と指揮力から部下からの信頼も厚い。
 
カインの方はと言うと5年という短い期間で異例の出世を遂げた青年騎士である。
 
騎兵団である『砂漠狼』の中では異常なことだが彼はチョコボをあまり使わない。
 
ジャンプと呼ばれる特殊な技を使う彼は、重い鎧を着込み、長大な槍を持ち単独でかなりの高度まで一気に跳躍することができるからチョコボは返って邪魔なのである。
 
人呼んで竜騎士カイン、敵陣に一気に飛び込み、嵐のような槍技で敵を絶滅させるフィガロ騎士団でも屈指の戦士である。
 
実力でいえばゼザよりも強いと言われる彼だが、人付き合いが苦手なのか口数が少なく、また一切の経歴が部下たちに知らされていないため彼の事を怪しむものも多い。
 
 
彼らは先日のフィガロ城潜伏の直前、ガーラからの別名を受け隠密裏にサウスフィガロに身を潜めていたのである。
 
ティナを匿った事で帝国との関係悪化は必定、フィガロ城とサウスフィガロは城と城下町という関係の割には距離が離れているためとっさの事体に対応しきれないと考えたガーラは、ガーラはサウスフィガロ防衛の任務を彼らに与えていたのである。
 
もちろん、エドガーも口添えしたわけだが、やはりガーラの老練な戦術的な才知を認めないわけにはいくまい。
 
 
真っ赤な閃光が走る。
 
魔導アーマから放たれた『ファイアービーム』をゼザの左目に眼帯をした勇壮なチョコボサーゲイトが高く跳躍して避ける。
 
「くっ!」
 
「づええええりゃあああああああああああああああああああああっ!」
 
チョコボから飛び降りたゼザのサーベルがコックピットの帝国兵の頭をかち割る。
 
魔導アーマーが勢いよく横転した、ゼザは着地していたチョコボの鞍に再び飛び移り、手綱を引いてチョコボを抑えた。
 
「魔導アーマーと力勝負をするな!コックピットを狙え!」
 
おおおおおおおおおおおおおっ!と勝鬨が上がり、チョコボ騎兵たちが魔導アーマーたちに殺到する。
 
「バルナバ隊長!やべえあいつら!強すぎます!あんぎゃあ!」
 
「ンなこたあみりゃあわかんだよ!このたこっ!」
 
バルナバは泣き言を言った部下を殴り、そう言って自分の魔導アーマーを引き起こした。
 
バルナバの魔導アーマーは他の物より一回りごつい。
 
左腕は巨大なチェーンソウ(回転のこぎり)で、白塗りの機体はそれだけで威圧感がある。

4-3.jpg


「気合で負けるんじゃねえ!戦争は・・・気合だっ!」
 
「そんなめちゃくちゃな・・・」
 
と、そのとき一人の騎士がサーベル片手にバルナバに向けて突撃してきた。
 
「ひいいっ来た来た来ましたよおおっ!」
 
「大将首とったああああああああああああああああああっ!」
 
周りに魔導アーマーは無い、チョコボが跳躍する。
 
「あめえっ!」
 
バルナバが怒鳴る、魔導アーマーの左腕部の周りに3つのバーニアが顔を出す。
 
「激甘だぜえええええええええええええっーーーーーーーーーっ!」
 
鎖につながれた鉤爪が空を裂く。
 
空中のチョコボの体が巨大な鉤爪にがっちりと掴まれた。
 
「!?」
 
チョコボの悲痛な悲鳴、騎士は地面に落下する前に、大きく横凪に振られた回転のこぎりが騎士の体を肉片に変えた。
 
「ひいっ!」
 
「言ってっだろうが・・・」
 
文字通り血煙に染まった魔導アーマーが回転のこぎりを振りかざして前に踏み出した。
 
「戦争は、気合だってよお・・・」
 
言って薄ら笑いを浮かべるバルナバ。
 
「ゼ、ゼザ団長・・・」
 
それをみて、ゼザはギリッと歯をこすり合わせ、サーベルを勇ましく前方に向かって振り上げた。
 
「怯むな!民を守るは騎士のつとめ!われらがやらねば誰がやるのだ!!」
 
ゼザが鐙でチョコボの腹を蹴り上げる、チョコボが一声甲高く鳴いて地面を矢のようにかけだした。
 
他の騎士たちも咆哮を上げてそれに続いた。
 
前方に立ちふさがるバルナバの魔導アーマー。
 
「いざ勝負!」
 
「こいやあああああああああっ!」
 
バルナバの回転のこぎりが甲高い唸り声を上げた。
 
 
 
続く

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「副長、住人は全員非難いたしました」
 
サウスフィガロ中心部では水車がいつも通りのどかに回っていた。
 
しかしそこにいるのは洗濯物ついでに世間話をする奥さん方でも、はしゃぐ子供たちや、ゆっくりと歩く老人たちではない、厳しい表情のフィガロ兵たちである。
 
副長と呼ばれた若いフィガロ騎士。
 
比較的軽装の他のフィガロ兵と違い厳つい鎧と顔全体をおおう竜の装飾が施されたフルヘルムを被った精悍な青年である。
 
背に結わえた長槍、腰には他のフィガロ兵と同じくオートボウガンを装着している。
 
前述した、カイン・ハイウィンドである。
 
 
彼はそれを聞いて頷いた。
 
「要所の防御はどうなってる」
 
「現時点では特に異常ありません」
 
「そうか」
 
カインはそう言ってトン、と足を踏み鳴らした。
 
次の瞬間彼の体が重力から開放されたように飛び上がり、外壁の上に飛び上がった。
遠くで黒い煙が上がるのが見える。
 
「帝国・・・か」
 
そう言ってヘルムの中で瞳を閉じる。
 
「ゼザ団長の事です、心配いらないでしょう」
 
「・・・・そうだな」
 
部下の言葉に微笑して町を取り囲む外壁を見渡し表情を硬くした。
 
「引き続き警戒を強めろ、ゼザ団長が帰ってくるまで、我々がこの町を死守せねばならん」
 
「はっ・・・」
 
部下がそう返事をして一礼した。
 
「ところで」
 
カインはそう言って再び地面に降り立った。
 
「お前、なにか忘れている事は無いか?」
 
「・・・・・は?」
 
「おいおい、困った奴だな・・・」
 
カインがそう言って微笑む。
 
「俺の・・・・命だよっ!」
 
フィガロ兵の手元から白刃が飛び出す、カインはそれを身をよじって避けると地面を蹴って高く跳躍した。
 
空中から雨のように降り注ぐ金属の矢、それを目にも留まらぬ速さで避けるフィガロ兵。
 
「くっ!」
 
「はあああああああああああああああああああっ!」
 
カインの長槍が上空から振り下ろされ、石畳を粉々に打ち砕く。
 
「ジャンプか・・・竜騎士カインとはよく言ったものだ」
 
そう言ってフィガロ兵が、クククと笑う。
 
「なぜばれた」
 
「殺気が強すぎる、暗殺者としては失格だな」
 
「先ほど一人殺したのでね」
 
驚愕のあまり動きを止めているほかのフィガロ兵たちを尻目に、カインは長い槍を構えたままフィガロ兵、いや、謎の男を睨んだ。
 
「貴様、何者だ」
 
「・・・名など、とうに棄てた」
 
そう言って、フィガロ兵の制服を脱ぎ放る。
 
ぴったりとした黒装束に身を包んだ男が、そこに立っていた。
 
「俺はただの、影、だ」

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「暗殺者・・・シャドウ」
 
カインはそう言って長槍を再び構えた。
 
「帝国の犬めっ!」
 
「砂漠狼副団長・竜騎士、カイン・ハイウィンド、死んでもらうぞ」
 
「ぬかせっ!」
 
風を切って大きく振られる槍、シャドウはそれを体を屈めて交わし刃のついた円盤、手裏剣を放つ。
 
カインの体が手裏剣を交わして空に舞った。
 
雨あられと降り注ぐ金属の矢、シャドウはそれを腰から抜き放った忍者刀で弾き飛ばしながら民家の影に潜り込んだ。
 
「追えっ!逃がすな!」
 
フィガロ兵達がシャドウの逃げ込んだ物陰に飛び込もうと殺到するが、その足元に何かが転がった。
 
瞬間小さなボールから煙が噴出しあっという間に周囲を包み込んだ。
 
「うわあっ!」
 
「煙玉だ!注意しろ!」
 
そう叫ぶ間にも煙玉がそこここに撒き散らされる、カインは舌打ちをして長槍を収めた。
 
「オートボウガンを撃つな!同士討ちになるぞ!」
 
濃度の濃い目くらましの煙が全方位360度すべての視界を閉ざす。
 
さらに周囲にはフィガロ兵達が視界を奪われて身を竦ませている、下手なアクションは混乱を誘い、さらに同士討ちを招く可能性がある。
 
これでは自慢の長槍を振るう事もできない、ジャンプで飛び上がって煙から飛び出してもシャドウはその煙の中だ。
 
カインはぎりっと歯軋りをし。
 
そして、はっとした。
 
兵員の配置が崩れている、外壁を見張っていた兵士たちまでシャドウの出現で中央に集まってしまったのである。
 
「・・・・・しまった!」
 
「もう遅い・・・」
 
背後の気配に、迷わず長槍を振るう、黒装束がすうっと白い煙の中に溶けるように消えた。
 
「くっ、総員直ちに・・・・・」
 
 
 
『ファイア』
 
 
その短い言葉はたくさんの人間の言葉で、まるで賛美歌のように青い空に響いた。
 
次の瞬間、巻き起こる爆炎。
 
突如発生した火炎閃光に兵士たちと、その悲鳴が吹き飛ばされた。
 
 
続く

テーマ:二次創作 - ジャンル:小説・文学



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